あんなに不安だらけだった大学受験にも無事に合格し、今は楽しく充実した学生生活を送っている。
夢を見なくなってから4年が経っていた。
当時、それだけを支えにして生きていた私からそれが奪われることは辛かった。
数え切れない程目を閉じてみたが、重い扉が開くことはただの一度もなかった。
そして扉の前で彼の最後の言葉について考えた。
何となく、それが分かれば再びこの扉が開くのだと勝手に思った。
ここにさよならを告げなければいけない時が来たのだな、そんな直感が浮かんだ。
いつか来るそんな日に怯えながら私は夢を見続けた。
痺れを切らした彼がやっと突き放した。
私が自分なりの答えを何とか出したときには既に扉の前に立つことすらなかった。
ただそれを忘れることはなく、彼の質問が頭から離れることもなかった。

そして私は自分の回答に従い、今日私は第一志望の会社の面接に来ている。
面接官は2人。
主に40代前半くらいの人が話し、もう一人がそれを見ているという形式だ。
集団面接だから私の他に3人居る。
どうやら面接は習った通りらしく、皆緊張しならもはきはきと答えている。
「何かありますか。」
小さい声でそれまで話していた面接官が隣に座る面接官に話かけた。
「んー、じゃぁ、一つだけ。」
ずっと下を向いていた面接官が顔を上げた。
・・・あ、懐かしい笑い方と視線。
「皆さんにとって、時間とは何ですか?」
他の3人が固まっている。
きっと脳だけはフル回転させているのだろう。


さよならサンクチュアリ、私は、私の答えはもう決まっている。



                                   fin