今日はフランスパンをかじっている
「番人って何の?」
「あ、タメ口」
彼はニヤリと口元を緩めた
キレイなボトルに入った水を飲み干し、灰色のシャツで口を拭る
「そうじゃなくてさ」
早く本題が知りたくて急かす
人指し指で一指しされ
「君は時間って概念が好きじゃないだろ?」
図星
何時ものトランクの中から綺麗な色のジャムのビンを取り出す
「時間と空間っていうのは人が作り出した軸なんだよ」
一体何の話が始まるのだろうか
「その軸があることによって多くのものが立体的に映るし、大分分かりやすくなる」
「あの…何が言いたいの?」
また彼は目を細めた
「君は時間って概念が好きじゃないだろ?」
「…うん」
「どうして?」
フィクションなのか、ノンフィクションなのか分からない
でも引っかかるものが確かにある
「置いてきぼりにされてるような気がするから、です」
正直に告白した
なんとなくその方がいいと思ったから
「あのね、君の時間も食べたんだよね」
きっと私は間抜けな顔をしていることだろうな
ふとそんなことが頭に過ぎった
「もうこの世のものとは思えないほど、不味かったよ。しかも原因不明の腹痛にまでなるし」
「不味いのはよくあるんだけどね…体にまで影響のあるものがあるって事実に驚いた」
「で、僕なりに答えを出そうと」
彼の瞳は一切動かない
「うん」
取り合えず相槌
「この夢を君が見るようになったのは偶然じゃないんだ」